2026.01.28
alto BLOG
アルトブログ
2025.12.05
【腰痛の原因となる筋肉 2】〜 腸腰筋(ちょうようきん)
皆さま、こんにちは。
武蔵小杉「トリガーポイントのはり・きゅう・マッサージ治療院 alto」院長の加藤です。
最近、「ギックリ腰やギックリ背中が流行中!」との情報番組の表題を2,3回見かけました!
確かに11月中盤は毎日のようにギックリ腰の方がいらっしゃいました!!!
という訳で腰痛シリーズ第2回は
腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)
この筋肉がぎっくり腰が原因になる事は大変多く、また問題なのは、痛みは腰や臀部にあるのにこの筋肉は「お腹の深部」や「骨盤の中」、「大腿の内側後面深部」にある為、周りの筋肉や内臓、血管系の体表解剖を理解していないとアプローチが難しく、簡単と思っている方も間違っている事も多い部分。
何となく痛みを感じている腰を揉もうと、うつ伏せでギューギュー押すと立てなくなってしまったり、余計に悪くなってしまう事も多いです!
というのも実際に動きの制限の出てしまったギックリ腰なのにも関わらず、リラクゼーションやセルフストレッチ、言われるがままに腰に電気治療を行って立てなくなったと訪問のご依頼をいただいたり、何とかタクシーでご来院になる方は年に何回かあり、先日もそうでした。
逆に言うと、なかなか治らないギックリ腰はこの筋肉を制すると良くできる確率が増えます!
そんな大切な座り時間の長い現代人で過緊張になりやすい腸腰筋にスポットを当てて今回のブログを書いて参ります。
こんな人はこの筋肉が悪いかも
長時間座位のあとに立ち上がると、腰の前(深部)〜鼠径部がつっぱる/痛む
そのうえで、立って歩き出し数歩が重いが歩けてくると立っている方が楽
長時間の深いソファー、運転の後やテレワークなどイスが合わなくて痛い
股関節の伸ばし切りが苦手で体幹より前で脚をさばこうとする
反り腰になりやすく仰向けで腰が浮く
そのため数時間その体勢で寝た後の寝返り・起き上がりで腰の深部にズクッとくる
片脚を上げると鼠径部が詰まる(靴下を履く動作が出来ないと訴えることが多い)
大腿前面を中心にだるい関連痛
咳・くしゃみで何かにつかまっていないと怖い
片側だけ脚が短く感じる(指摘されたことがある)
骨盤が前後傾が怖い
※腸腰筋は「座りで短縮 → 立ちで伸びない」というのが負傷の典型パターン。靴下が履けたとしても骨盤の後傾を使っていてお腹にいっぱいしわが寄る。
筋肉の特徴
股関節屈曲の主動筋(特に90度以上の屈曲)で、腰椎の安定化にも関わるため、ここがこわばると「反り腰」「お腹がでる」「腰深部の重だるさ」を招きます。
大腰筋:T12〜L5の椎体・椎間円板・横突起から起こり、小転子へ。腰椎前面を走る深層の安定化筋。
腸骨筋:腸骨窩から起こり大腰筋腱と合流、小転子へ。股関節屈曲で大腰筋を補助。
二筋は共通腱で小転子に付着し、股関節屈曲・外旋に働く。腰椎前弯(反り)を強める方向の影響も。
腹圧・殿筋と拮抗関係。腹圧低下や殿筋弱化で代償的に過緊張しやすい。
収縮時の動作と活動する場面
座位維持:軽く短縮したまま静的収縮 → 長時間で短縮癖
歩行・階段昇行・靴下を履く動作:遊脚の股関節屈曲で主動
起き上がり・寝返り:体幹の前屈補助/骨盤の前傾固定
反り腰姿勢:骨盤前傾+腰椎前弯を助長 → 腰深部の圧迫感
関連痛領域(トリガーポイント)
腰椎前面の深部痛(刺すような内側の違和感)
鼠径部〜大腿前内側の帯状だるさ/締め付け感
仙腸関節近傍のピンポイント痛(腰椎前弯の変化で誘発)
ときに下腹部の鈍痛感として知覚され、内臓痛や生理痛と紛らわしいことも
★出産直後の筋肉バランスの不均等や屈んだ動きが増えることによるギックリ腰という患者様も良くお聞きするのですが、
大腰筋の負傷を疑いゆっくりと圧迫すると過去に3回ほど「下腹部や内股に響く」という感覚から「これは陣痛の痛みと一緒です!!」
と言われたことがあります。
もしかすると産前から大腰筋に痛みによる昨日不全があったのではないか?
このような方は陣痛を重く感じているのではないか?
とすら私は疑っています。
触診とマッサージ施術のコツ(専門家向け)
鼠経靭帯の部分で最も表層に現れる為、この部分で確認。デリケートな部分であるため、直前の食事や月経に伴う腹痛などは事前に確認。
当院ではマッサージツールを用いて手で直接触らないように考慮する。
鼠経靭帯上縁で筋の走行上にマッサージツール(手)を置いてスライドさせながら筋の幅を確認し圧迫。トリガーポイント療法の中では「受けに当てる」と表現されるが筋肉などの軟らかいものは硬いもの(手やツール)と硬いもの(体の中の骨や硬結)で挟んだ時に初めて物理エネルギーが伝わり機械受容器が刺激される為、押す方向や押しながら角度を変える技術が必要。
仰臥位で臍の下3横指〜みぞおちのした4横指の間で腹直筋の外へリから、ゆっくりと後方に向けて圧迫したのち、椎体と挟み込むようにない方に圧迫していく。トリガーポイント化していれば鼠径部や脇腹、腰全体に響く様な感覚が起きる事も多い。確認の為に下肢を床から持ち上げるように(股関節屈曲)を患者に支持すると圧迫する手を筋肉が押し返す様な硬さと合わせて関連痛が出現する。(小腸や下大動脈もある為、高齢者や血圧に問題のある方には行わない。もしくは細心の注意を!)
小転子停止部も刺激していきます!
うつ伏せで刺激する側の下肢において膝関節屈曲位で股関節内旋位を保てるように術者の体幹で支持したまま、大転子上縁から2・3横指足方、大腿骨上でツールを使って圧迫していきます。腸腰筋に以上のある側は触りやすいことが多く、圧迫することで下腹部・鼠径部・大腿上部前面に響きの応答が得られます。
これら直後に股関節の屈曲・外旋や屈曲・内転を試して施術前と比較します。
つまり感・突っ張り感の軽減がみられると成功です。
鍼施術(専門的アプローチ)
腸腰筋が原因でギックリ腰の方に対しては当院ではまず仰向けででのマッサージ施術と運動療法を行うことが多いです。
股関節が軽度屈曲位から伸びることができない・縮むことも辛いといった状況になっていることが多く、すぐにうつ伏せでギューギュー押したり、うまくアプローチが出来ていないにもかかわらず、長い時間のうつ伏せになってしまった後には立ち上がれなくなってしまう!!ということが起きかねません。
仰向けでしっかりアプローチが出来ると座位・臥位が楽に安定するようになることが多く、それからやっとうつ伏せや仰向けで鍼を刺していきます。
うつ伏せ(痛みで慣れない方は横向き)で寝た状態で行います。
肋骨下縁と腸骨稜、腰椎棘突起を確実に触れて想定したうえで
第3/4/5腰椎棘突起の外側3・4横指の辺りで最長筋・腸肋筋の硬結を避けられる部分に刺鍼。
深さは5cm程度から厚みによっては更に深く刺していきます。
横突起に鍼が当たった場合にはその時点で鼠径部や大腿部への関連痛が出ればそのまま止め、ない場合にも深さの指標として残し、上下にズレた点でもう一本刺し直す。
刺激量や患者様の応答次第にもよるが基本的にはこれらの鍼に対して電気を掛ける電気針を実施。
動きの確認と再現痛(関連痛)を明確化する為にも行います。
セルフケア(痛みが強くなる前の軽い調整)
痛みがはっきりある時期はまず施術で土台づくり。セルフケアは無痛〜微快で短く・こまめに。
1. 腰みぞおち呼吸(90秒)
仰向けで膝立て。みぞおち〜下腹へ手を添え、吐き切る→2拍止め→鼻で吸う。吸気でみぞおちが奥へ沈む感覚を確認。腹圧の基礎を回復。
2. 腸骨前面の皮膚スライド
仰向け。腰骨の突起(上前腸骨棘)の内側の皮膚を外→内/下→上に1cm未満でやさしくスライド。腸骨筋の腱膜を“ゆるめる”意識。30秒×左右。
3. ゆっくりランジ
机に手を置き、前後に小さな歩幅で立つ。後脚のお尻を軽く締め、骨盤を水平に。5呼吸で解放。※痛みゼロで。
5. 座位リセット(30–60分に一回)
イスの浅めに座り、坐骨で座る→胸を1cmだけ上へ。鼻吸・口吐 3呼吸。立ち上がる前に行うと歩き出しが軽くなる。
※よくある落とし穴
いきなり強い腸腰筋ストレッチ→ かえって腰前面がズクッとする
腹圧が抜けたまま“良い姿勢”を作る → 反り腰固定
殿筋が眠ったまま歩く → 腸腰筋の代償収縮が続く
座りっぱなし→立ちっぱなしのゼロリセットなしの切替え
まとめ
腸腰筋は股屈曲の主役かつ腰椎の安定化に深く関与。
座りで短縮→立ちで伸びないの繰り返しでトリガーポイント化。
施術は深層の安全な触診・骨当て管理・腹圧×殿筋の再教育が鍵。
セルフケアは呼吸で腹圧を戻す→皮膚・腱膜の解放→小さな伸展の順。
次回予告
次回は多裂筋・腰腸肋筋。
ブログ著者:加藤悟史(武蔵小杉 はり・きゅう・マッサージ治療院alto 院長)
国家資格:柔道整復師/はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師。施術歴 約22年(2003年頃〜)。
整形外科領域で外傷対応・診察補助・術後リハ補助の現場も経験し、
現在はトリガーポイントと筋膜・筋間の滑走アプローチを軸に、痛み・しびれ・動作制限に向き合っています。
