2026.01.28
alto BLOG
アルトブログ
2026.01.25
【腰痛の原因となる筋肉3】〜多裂筋・腰腸肋筋 (たれつきん・ようちょうろくきん)
皆さま、こんにちは。
武蔵小杉「トリガーポイントのはり・きゅう・マッサージ治療院 alto」院長の加藤です。
これまで2回の腰痛シリーズを書いて参りましたが
腰痛シリーズの、ひとまずの区切りとして最終回
第3回は、多裂筋(たれつきん)と腰腸肋筋(ようちょうろくきん)。
をお送りします。
どちらも「腰の後ろ側」にある筋肉ですが、役割が少し違います。
多裂筋:背骨(腰椎)を“芯から支える”安定化筋
腰腸肋筋:腰の外側で体幹を“ばねのように支える支持筋
もうひとつの筋肉 最長筋
ちなみにもう一つ最長筋という筋肉を合わせた3つで脊柱起立筋と呼び、セットでざっくりと考えることが多く、当然腰痛の原因になるのですが、今回はあえて省いてます。
最長筋は動きの制限のある
第一回の「腰方形筋」
第2回の「腸腰筋」
第3回の「主に多裂筋」が原因の腰痛が直らずに長引いてきて(もしくは、少し楽になってきたと感じるも上手くかばえてしまって治ってきたと錯覚してくると)
「だんだん痛みが上の方(腰というよりも背中)に上がってきた」と仰る方がいます。
その際に原因となっていることが多いのが最長筋!(二次的に悪さをする)
なのでギックリの正体は
最長筋と重なっている部分の腸肋筋
最長筋と重なっている部分の多裂筋
であると感じることが多く
今回のテーマの2つの筋肉を幅広く逃さずアプローチする為に邪魔をする筋肉という捉え方を私はすることが多いんです。
ぎっくり腰や慢性腰痛で「レントゲンは異常なし」「湿布や電気で一時的には良いけど戻る」…そんな方は、この2つがトリガーポイント化していることがとても多いです。
しかも厄介なのは、痛い場所=原因の場所になっていないことがある点。だからこそ「見立て」が大事です。
こんな人はこの2つが悪いかも(セルフチェック)
多裂筋タイプ
・腰の真ん中がピンポイントに痛い(左右というより中央寄り)
・朝起きて最初の一歩が怖い、腰が“抜けそう”
・前かがみの戻りでギクッとくる
・「骨の際や仙骨が痛い」でもテニスボールでゴリゴリしたくなる
・体幹トレや姿勢を頑張るほど、逆に腰が張ることがある
腰腸肋筋タイプ
・腰の外側〜肋骨の下あたりが帯のように重だるい
・横に倒す動きでストレッチしたくなり、倒した側の腰を脇から指で押したくてたまらない。
・長時間座位→立ち上がりで腰全体固まる
・片側抱っこ、片側荷物、片側重心のクセがある
・マッサージしても「その時は良いが、また戻る」
この2つは同時に固まることもよくあります。
芯(多裂筋)が不安定 → 外側(腰腸肋筋)が代わりに頑張る、という順番で悪循環が起きやすいからです。
筋肉の特徴(ざっくりと役割)
多裂筋は腰椎の一つ一つを近距離で支える、深い層の筋肉です。
大きく動かす筋というより、グラグラしないように細かく制御する筋。ここが固まると「動けない」「怖い」「急にギクッ」が出やすくなります。
多裂筋が関わるときは、どういうときに痛みが出るかというと
・前かがみから戻る瞬間(伸ばす瞬間)に怖い
・寝返りや起き上がりで、腰の中心が“刺さる”
・ちょっとした段差やくしゃみで、腰が守れない感じ
腰腸肋筋は背中の外側ラインで、骨盤〜肋骨方向に走り、反る・倒す・立って支えるを担当します。
ここが固まると、痛みが点ではなく帯状になりやすく、腰の外側〜わき腹の奥まで重く感じます。
腰腸肋筋が関わるときは、どういうときに痛みが出るかというと
・反ると痛い、横に倒すと片側が痛い
・立ちっぱなし・歩きっぱなしで外側が固まってくる
・「良い姿勢」を作ろうとして腰で反ると悪化
関連痛(トリガーポイント)の出方
多裂筋の関連痛
腰の中心〜背骨のすぐ横にピンポイント
“深い”感じ、押されるとズーンと響く
片側に寄ることもあるが、基本は中心に近い
腰腸肋筋の関連痛
腰の外側〜腸骨稜の上
肋骨下縁に沿って帯状に広がる
ときに臀部の外側まで重だるい
「腰が痛い」と一言で言っても、地図が違うんです。
altoでは、このように痛みの範囲から悪い筋肉を探すことは二の次で、痛みの出る動作と、痛みを避けるための動作から狙いを定めます。
altoの見立て(当院が最初にやること)
触る前に、まず動きを見ます。【ここがトリガーポイント院らしいところです!】
立ったまま軽く反る
左右にゆっくり倒す
椅子から立つ・数歩歩く
座ったまま骨盤を前後に倒したり・お尻を左右片方だけ椅子から離すように指示したりします。
そこで「どの動きで」「どの場所が」再現されるかを確認してから、触診で硬結や反応点を見つけます。
この順番を飛ばして“痛いところだけ”押すと、当たり外れが増えやすいです。
施術の考え方(マッサージ/鍼)
1)まずは防御のための緊張を落とす
急性期や怖さが強いと、多裂筋も腰腸肋筋も防御収縮します。そして冒頭で紹介した最長筋がピーンと張って前の2筋の中でも最も大切な部分を触れられないように邪魔してきます!
いきなり強押しより優しくゆするように指圧したり、ローリング治療器で皮膚と筋肉の境を動かす様に触れて「守らなくていい」状態を作る方が結果が早い。
2)トリガーポイントは触れて近くの骨に寄せるように触れるが、筋肉を押しっぱなしにはしない
当院では、硬結(コリ)を押しつぶすのではなく、ここでいうと例えば多裂筋の一部のトリガーポイントを触れるために最長筋の硬結をめくるようにどかして、指圧の角度や方向を微調整します。これによって多裂筋の線維(それを取り巻く筋膜)を例えば仙骨にヒョイッと押し当てます。(潰すのではなく仙骨に寄せるというイメージ)
その上で、患者様に応答をお聞きすると「ズーン」と腰の深部に線上に響くといった応答が確認できます。この感覚がお悩みの腰痛の感覚に一致していればこれを再現痛と言って、ビンゴです!
施術後に動きで再チェックします。痛みが減るだけでなく「動きやすさ」が戻るかを見ます。
指でめくろうとすると難しい場合もあり、その際は細くて硬めのローリングマッサージツールを使います。
3)必要なときは鍼で“深さ”を取りに行く
多裂筋は深層で、表面だけだと届きにくいことがあります。
腰腸肋筋も肋骨の近くで触りきれない部分があります。
そこには鍼を使っていきます。
鍼を使う際の基本的な考え方として鍼の方が「身体に優しい」状況においては積極的に使用していきます。
鍼に慣れていない方は特に
【鍼は深そうで怖い。マッサージの方が安心】
と感じる方が多くいらっしゃいますが、例えば5cm先の腰の奥の筋肉に刺激を加える際に、単純に真っ直ぐ押せば手前4cmはぶっ潰してしまい、潰した先の5cmの層を変形させるように更に押し込みます!
これは大変なストレスで、押される側もグッと力を入れて押し返したりします。
そして、5cm先を本当に触れているかどうかは再現痛が無い限りは施術担当者の主観でしかありません。
鍼は6cmのが皮膚から1cmの残りがあれば間違いなく5cm先に鍼先があるわけで裏付けがあります。
手前の層をつぶすこともありません。
どうしても表皮は貫くので出血が起きる時もありますが、鍼先は適度に丸い為、貫くというよりも線維を割きながら入っていくので、想像されるよりもは損傷は伴いません。
とはいえ、解剖と深さや筋肉の形状、筋膜を貫く感覚等、知識と技術が充分であることが大前提です!!
安全を最優先で行います。
セルフケア(一般向け)
痛みが強いときは無理をしない。基本は「無痛〜微快」で短く。
1. 丸まりこぶし伸ばし(30〜60秒 × 1〜3セット)
椅子に浅めに座り、足裏は床にしっかりつけます。
手を組んで前へ伸ばし、背中を丸める準備をします。
骨盤を後ろに倒す(後傾)組んだ手をできるだけ遠くへ
鼻から吸って、口から細く長く吐きながら、手をもう1cm遠くへ。
2. “腰を反らない”背伸び(30秒×2)
立って背伸びしたくなる人ほど、腰で反りがち。
胸を軽く上げ、腰は反らずに背骨を長ーく保つ意識。
3. 体幹の小さな側屈(左右10回)
痛みゼロの範囲で、ゆっくり左右に倒す。
腰腸肋筋の“板ばね”を戻すイメージ。反動は要らない。
4. 歩幅を1cmだけ大きく(1分)
腕を軽く振り、歩幅を少しだけ。
腰の筋肉に固定させず、歩行リズムで分散させます。
よくある落とし穴
「痛いところ=原因」と決めつけて、強押しで悪化
良い姿勢のつもりで腰を反らせ、腰腸肋筋が働きっぱなし
体幹トレを頑張りすぎて、多裂筋が防御収縮のまま固まる
その場の緩みだけで終わり、動きのクセ(片側重心)が残る
腰痛は筋肉をゆるめるだけでは戻りやすい。
「当てる」「動きで確認」「戻らない使い方」までセットが、再発を減らす近道です。
まとめ
多裂筋は腰の芯を支える深層筋。お隣で覆いかぶさる多裂筋が防御態勢になり触りにくい。
腰腸肋筋は腰の外側の板ばね。固まると帯状の張り・外側痛が出やすい。
altoでは、痛みの部位も大事だが、痛みの出る動作・痛みを避ける動作から見立て、施術後に動きで再確認します。
セルフケアは強いストレッチより、呼吸→小さな動き→歩行リズムが安全で効率的。
ブログ著者:加藤悟史(武蔵小杉 はり・きゅう・マッサージ治療院alto 院長)
国家資格:柔道整復師/はり師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師。施術歴 約22年(2003年頃〜)。
整形外科領域で外傷対応・診察補助・術後リハ補助の現場も経験し、
現在はトリガーポイントと筋膜・筋間の滑走アプローチを軸に、痛み・しびれ・動作制限に向き合っています。
